AWS VPCを用いたネットワーク構築の基本
VPCとは
VPC(Virtual Private Cloud)は、AWS上で仮想ネットワークを構築し、リソースを隔離してセキュアに運用するためのサービスです。VPCを使用することで、ユーザーはAWSクラウド内で自分専用の仮想ネットワークを作成し、IPアドレス範囲、サブネット、ルーティングテーブル、ネットワークゲートウェイなどを自由に設定できます。
VPCの基本構成要素
1. サブネット
サブネットは、VPC内でIPアドレスをグループ化するための単位であり、ネットワークを論理的に分割します。サブネットは、パブリックサブネットとプライベートサブネットに分類され、パブリックサブネットはインターネットゲートウェイを介して外部と通信できるのに対し、プライベートサブネットは内部リソース間の通信に使用されます。
2. ルーティングテーブル
ルーティングテーブルは、ネットワークトラフィックの行き先を定義するためのルールのセットです。各サブネットにはルーティングテーブルが関連付けられており、トラフィックがどのゲートウェイや他のサブネットに送られるかを制御します。
3. インターネットゲートウェイ(IGW)
インターネットゲートウェイは、VPCとインターネット間の通信を可能にするためのゲートウェイです。IGWをVPCにアタッチし、ルーティングテーブルでルートを設定することで、パブリックサブネット内のリソースがインターネットにアクセスできるようになります。
4. セキュリティグループとネットワークACL
セキュリティグループは、VPC内のリソースに対するインバウンドおよびアウトバウンドトラフィックを制御する仮想ファイアウォールです。一方、ネットワークACL(アクセスコントロールリスト)は、サブネットレベルでトラフィックを制御します。セキュリティグループはステートフルで、ネットワークACLはステートレスです。
VPCの作成手順
1. VPCの作成
AWS Management Consoleで「VPC」を選択し、「VPCの作成」ボタンをクリックします。VPCの名前、IPv4 CIDRブロック(例:10.0.0.0/16
)を指定して作成します。
2. サブネットの作成
作成したVPC内にサブネットを作成します。コンソールから「サブネット」を選択し、「サブネットの作成」ボタンをクリックします。サブネットの名前、VPC、アベイラビリティゾーン、CIDRブロック(例:10.0.1.0/24
)を指定します。パブリックサブネットとプライベートサブネットを作成する場合、それぞれ異なるCIDRブロックを指定します。
3. インターネットゲートウェイのアタッチ
インターネットに接続するために、VPCにインターネットゲートウェイをアタッチします。「インターネットゲートウェイ」を選択し、「インターネットゲートウェイの作成」ボタンをクリックして作成します。作成したIGWを選択し、「VPCにアタッチ」ボタンをクリックしてVPCにアタッチします。
4. ルーティングテーブルの設定
パブリックサブネットのトラフィックをインターネットゲートウェイにルーティングするために、ルーティングテーブルを設定します。「ルーティングテーブル」を選択し、VPCに関連付けられているデフォルトのルーティングテーブルを選択します。「ルートの編集」ボタンをクリックし、ルートのターゲットとしてIGWを指定します。
5. セキュリティグループの設定
セキュリティグループを設定して、VPC内のリソースへのアクセスを制御します。「セキュリティグループ」を選択し、「セキュリティグループの作成」ボタンをクリックします。必要なインバウンドおよびアウトバウンドルールを追加して、リソースへのアクセスを制限します。
まとめ
AWS VPCを使用することで、仮想ネットワークをカスタマイズしてセキュアに構築し、AWSリソースを効果的に管理することが可能です。本記事では、VPCの基本構成要素であるサブネット、ルーティングテーブル、インターネットゲートウェイ、セキュリティグループについて解説し、VPCの作成手順を紹介しました。これらの基本を理解し、VPCを活用して効率的でセキュアなネットワーク環境を構築しましょう。